グリッドフォーミング

デジタルグリッドコンセプト

Grid-forming

福島産総研(AIST)資料より

【従来型Grid Following Inverter(GFL)】

現時点で使用されている太陽光用のインバータや風力発電用のインバータ、また大型蓄電所用のインバータなどはすべてGFLインバータである。このインバータは系統の電圧や位相をPLLという測定装置を用いて測定し、その情報に合わせて適切な電流を送り込むため、電流型とか、系統追従型と言われる。系統の慣性力を提供しないため、不安定性を増すことが知られている。

【新型Grid Forming Inverter(GFM)】

系統の安定度を増すために、世界中でGFMインバータが開発されている。系統の電圧に対して独自にインバータ内部電圧を構築して電力を出し入れするため、電圧形成型といわれる。系統に慣性力を提供するため、系統安定度が増す。インバータの出力変動をもとに回転発電機の制御を疑似的にまねたものが主流となっている。

【弊社開発Digital Grid Router(DGR)】

DGRはDGキャピタルグループが開発しているGFMインバータである。系統の電圧に対して独自にインバータ内部電圧を構築して電力を出し入れするため、一般的な電圧形成型と似ているが、制御方式は大きく異なる。DGRはGFLと同様に、PLLを用いて電圧・位相を測定し、仮想インピーダンスが一定になるようにインバータ内部電圧を構築する。そのため、高速な周波数応答や電力変動応答が可能であり、系統安定化に強力に寄与する。

左の図は再エネ変動等に伴う電力系統の周波数応答を示しています。日照が急に増大すると系統周波数は上昇します。
また、日照が減少すると、系統周波数は下降します。
その時の周波数変化率をRoCoF(Rate of Change of Frequency)と言います。
この変化率が大きいと系統は動揺し、発電機間で共振したりして保護装置が働き周波数が低下して大停電につながったりします。

周波数が低下した最下点をNadirといいます。再エネ浸透率が高くなり、一定の条件が発生すると、従来型のインバータは停止するようにルール化されているため、一斉に発電が脱落することがあります。このようなときにNadirは大きく低下します。

逆に送電線事故などで需要が大きく減少したときには周波数が上がります。このときもおなじNadirという言葉を使っていますが本来はNadirは大底という意味です。

左の図は再エネ電源が脱落したときの周波数低下のシミュレーション結果を示しています。

赤い線がDGRがないときの結果です。NadirもRoCoFも大きな変化を示しています。

一方、青い線がDGRがあるときの結果です。NadirとRoCoFを抑制して系統安定化に寄与していることがわかります。

このような結果は前提条件によって異なりますが、いずれも変動から3秒ぐらいで最大の変化になるため、従来型の系統追従型インバータ(GFL)では応答できません。

DGRは電圧形成型インバータ(GFM)ですのでこのような抑制効果が顕著に現れます。

左の例は100MVAの電力系統に80MVAの負荷があり、20MVAのDGRがある場合とない場合でのNadirの値をプロットしたものです。
再エネ(VRE)電源比率が増えるにしたがって、Nadirの変化量は増えていきますが、DGRがある場合はその割合が小さくなっています。

このシミュレーションは、スリランカのMoratuwa大学のシミュレータで仮想DGRを導入して実施しました。

このように、DGRを導入することにより、系統異常時に周波数動揺を抑制できることがわかります。