デジタルグリッドルータ

インバータベース電力機器

DIGITAL GRID ROUTER

レグ(接続端子)

デジタルグリッドルータは左図のような2レベルインバータを基本構成としてこれを複数並列接続したものです。 SW1を上アーム、SW2を下アームと呼びLfilter, Cfilterを経由して、インバータ内部電圧Vfilterを作り、 Lgridという系統連系リアクトルを通じて外部の系統電圧Vgridと電圧同士の突合せ接続をします。この接続端子をレグと呼んでいます。

9レグのDGR

左の例は9レグのDGRの構成です。
左側の3レグでU, V, W相の三相交流に接続します。同様に右側の3レグでU, V, W相の異なる三相交流に接続します。
中間の3つのレグはそれぞれBatteryや太陽光PVの直流電圧に接続します。このようにして交流も直流も関係なく、 レグ間の電力を上下アームを通じて直流母線を介して電力融通できます。

DGR設置例

左の例は日本の一般的な高圧需要家にDGRを設置したものになります。需要家の受電遮断器はVCB1です。
需要家の高圧受電盤の高圧部にDGRが高圧変圧器と高圧遮断器VCB2を介して接続します。
電力系統平常時は太陽光の電力を需要家に供給し、余剰分は電力系統に逆潮流します。
電力系統停電時はVCB1を開いて、VCB2からDGRの電力を無停電で連続供給します。
電力系統復電時にはVCB1を同期検定して無停電復電します。

柔軟な接続方法1

DGRは柔軟な接続で出力を変えたり、蓄電容量を変えたりすることができます。
左の例は交流出力を並列にして出力を2倍にしたものです。

柔軟な接続方法2

左の例は右端の3つのレグを直流制御に変更し、蓄電池容量を4倍にしたものです。

柔軟な接続方法3

左の例は右端と左端の6つのレグを三相交流の並列制御にし、真ん中の3つのレグをすべて直流制御して蓄電池容量を3倍にしたものです。

柔軟な接続方法4

左の例は左端の3つのレグを三相交流制御にし、残りのレグをすべて直流制御して蓄電池容量を6倍にしたものです。

これらの例は、9つのレグの場合の使い方ですが、並列レグ数をもっと増やすことも可能です。
またDGRそのものを複数台並列することも可能です。

各レグの制御は1か所のCPU/FPGAが搭載されたマザーボードから実行されます。
FPGAは160GHzのクロックスピードで動作し、内部のクロックはGPS時刻で同期しています。
制御ソフトは、VPNモバイル回線を通じて高いセキュリティで定期的に更新されます。

パワーユニット上にはマイコンなどの制御装置は搭載していません。したがってパワーユニットはOEM製造が容易となります。

すべてのレグの電圧・電流の情報はAD変換され8MHzでサンプリングされています。 この情報をもとに高速なPLLで電圧・周波数・位相を各レグごとに検出し、インバータ電圧を作ります。 系統の事故や異常も速やかに検出し、必要な慣性力を提供したり、独立運転に移行したりできます。

接続された太陽光や燃料電池、ディーゼル発電機、バッテリーなどの電力は、 交流出力との間で総和がゼロとなるようにDC母線を介して電力のやり取りが行われます。 それらもすべてマザーボードでコントロールされます。

DGRは、3つのレグをひとまとめにしてACユニット、DCユニットにしています。 1ユニット当たり20㎏程度になるようにして、人力で筐体に抜き差しできるように設計されています。

バッテリー部分も同様にユニット化されています。制御装置も、ユニット化されています。
筐体と各ユニットを分離し、それぞれ大量生産可能としています。

使用部品は従来型のインバータと同じですので低価格で生産できます。

制御ユニット以外の部分を世界中の製造メーカーにOEM生産してもらい、 制御を組み合わせて製品化するファブレス型の事業モデルです。

左の図は3つのレグの入ったDCパワーユニットです。
プラグピンで筐体と接続できる構造になっています。故障時はユニットを交換するだけで修理が完了します。

写真は20kW交流出力のHelios DGR モデルです。その仕様は以下の通りです。

  • 20 kVA AC 200V, 60A, 3 相 4線式
  • 内蔵20 kWh JET 認証済み LiFePO4 リン酸型リチウムイオン電池
  • 2系統の別タイプのバッテリ接続可能
  • 並列運転台数の数の制限はありません。
  • すべてのDGRは同期して電圧源として働き、系統の周波数と電圧を維持します。

これらの写真は沖永良部島脱炭素先行地域事業でのHelios DGRの製造風景です。

Heliosモデルの寸法図です。